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第91回天皇杯に行ってみたその1

 東京もナイターの試合になると肌寒さを感じた16日。第91回天皇杯全日本サッカー選手権大会3回戦のFC東京対ヴィッセル神戸戦のこと。では、さっそく試合ですが、僕の印象は両チームともよくボールを繋ぐなぁというものでした。
 試合を優位に進めたFC東京でも、前線で相手守備に詰まると迷うことなく横パスやバックパスを出す。逃げるプレーでも、ワンタッチでポン、ポンとパスを出すのでリズムは悪くならない。もちろん、前を向いてボールを持てる場面では、各選手とも積極的にドリブルで状況を打開しようとしていましたが、どちらかというと無理をしないスタイルが前面に出されていたかな。まあ、負けたら終りとなるカップ戦では、こうした無理をしないサッカーは鉄則と言えば鉄則です。
 対するヴィッセル神戸も、選手たちの球離れはよかった。エース大久保嘉人も圧倒的な存在感を示しているわけではないけど、スイスイとボールを持っては前線へと攻め上がり、相手選手に阻まれるとパスに切り替える。強引な突破や力強いプレーは減ったけど、ボールをスムーズに運べるということは、彼のテクニックはまだ落ちていないということか。
 話をFC東京に戻します。1シーズンでのJ1復帰を目標に掲げているFC東京にとって、今シーズンはなにより結果を出さなければならない1年だった。内容よりも勝ち点をどれだけ稼げるかが最重要課題だったはず。そうした状況だと、チームのスタイルには安定感が求められるよね。
 攻めるときに攻める。相手の守備に詰まったら強引に状況を打開しようとせずパスで逃げる。特に前線とは違い、絶対の無理が必要とされない中盤では、相手を交わすパスを多用する。そうしてボールキープ率を高めて、じっくりとチャンスを作りゴールを目指すというのは定石の作戦だよね。この試合はリーグ戦ではないけど、今シーズンのFC東京はこうしたサッカーで勝ち点を確実に稼いできたのかな。
 言うまでもなくJ2の舞台にあって、FC東京の戦力は群を抜く充実ぶりだったと思う。実際、結果も出しているよね。しかし、J1へと復帰を果たした場合、このままで通用するのかというと、ちょっと改善した方が良いと思ったところが僕にはあった。
 この試合、先制点を挙げて流れを引き寄せているときはまったく問題はなかったけど、同点とされ、再びゴールを目指さなければならなくなったとき、かなり不安定さを露呈していた。FC東京の選手には、それまで優位に進めていたにもかかわらず、同点とされことにより追い込まれたイメージが膨らんでしまったのかな。同点となったあとの展開は落ち着きがなくなり、ミスや消極的なプレーが増えた。
 そうしたミスや消極的なプレーが同点とされたことによる焦りから生まれたものだったら、改善しなければならないと思う。なぜなら、J1の舞台では同点とされるケースなんて、シーズンを通してそれこそ何度もあるから。そうしたありふれた状況で、チームのリズムを崩していたらきりがないでしょう。
 その消極性が表れていたプレーがこれ。ヴィッセル神戸が退場者を出し、一気に攻め落とす機運が高まった終盤。しかし、FC東京は日本人、外国人選手も合わせて、ドリブルで前線へと攻め上がったとしても、ミスを恐れてかルーカスへとパスを出す逃げるプレーがちょっと目に留まった。
 まあ、シュートは決めないより決めた方が良いけど、決定力のある日本人選手は少ない。シュートをミスしてしまうこともある(それを許していたら話は終っちゃうんだけどね)。そうしたミスを恐れても意味がない。それより十分にフィニッシュプレーへと持っていけるのに、敢えてルーカスを探す消極的なプレーの方が問題に感じた。
 そうしたプレーがこの試合にだけ、たまたま多かったのなら問題はない。しかし、追い込まれた状況になったとき、このルーカスを頼りにするサッカーがいつも行われていたとしたら、ちょっと考えた方が良いのでは。高いレベルで戦うことになったら、このスタイルはスイスイとは通用しないと思う。なによりパターンを読まれてしまうよね。
 それにしてもルーカスは頑張ってるなぁ。相手との接近戦でも身体を上手く入れてボールをキープしていたし、チャンスと見れば一気に攻め上がるフリーランニングもバシバシ見せていたよ。でも、やはりベテランの彼にチームの命運を託すのはちょっと酷かなぁ。
 FC東京はメンバーを見ても戦力は十分に揃っている。各選手がもっと自信を持って試合に臨んだ方が、良いプレーを見せられると思うけどね。

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